当研究会が目指すもの

目的: 製造/生産を行っている大企業殿向けに"PA"."FA"の両分野において企業全体での”戦略的経営”を実現したい。
    そのために下記2点を行えるシステムの構築を目指していきます。

 ① 突発受注/突発障害発生時に、企業全体での生産変更/物流変更の最適シミュレーションが瞬時にできるようにし、
   戦略的経営判断の役に立つシステムを提供したい。

 ② ①でシミュレーションし、経営的に決定した内容を企業全体の生産系/物流系の全システムに即座にプログラム的指令を出す。
   企業内の全工場の生産計画や全物流拠点の配車等の物流計画をシステム的に即時変更/最適設定できる様な、
   全社的な統合生産/物流システムを提案したい。

構築:上記”目的”を実現する為に下記2点の機能実現が必要であると考える。

 ① 戦略的経営判断が瞬時に行えるような、全企業情報を統合した情報提供システムの構築
 ② 決定した戦略的経営判断を、生産現場、流通/在庫管理現場のシステムに直接、かつ
  瞬時に指示できる統合システム(企業内インフラ="IOT Net-Work"/"クラウド化Data-Base")の構築

これを"PA"(プロセスオートメーション※1)、"FA"(ファクトリーオートメーション※2)のどちらの分野にも適合し、
上記①、②を実現できるようなシステムの構築が求められていると考える。
本研究会はこれを実現するために、まずはハードウェア部分を中心としたこの機能を実現する為のプラットホーム(システムの基本構成)の
基本設計図(規格)を提言できる様になることが必要と考えている。

このために私どもは本研究会を通して皆様との情報交換を行い、情報収集を通してこの企業全体の最適化を実現するための
”プラットホーム”の原型を提案できるようにしていきたいと考えている。

※1:PA 日本の素材産業(製鉄、石油精製、化学品、医薬品、紙パルプ、発電、ガス供給等)の生産工場の主に流体(気体/液体)を
     制御して製品を作っている自動化生産/操業システムのこと
※2:FA 自動車、電気製品、半導体などの主に固形物を組み上げて製品を作っている工場、生産施設の生産/操業の運転管理を行っている
     自動化システムのこと

PA(プロセスオートメーション)の分野での 企業全体の生産/物流の最適化について

PA分野における システム統合のための 基本プラットホームの範囲を「図1-1」に示す。
PA分野では 現在の計装システム(生産現場での生産/操業システム=現状DCS(分散型制御システム: Distributed Control System)をより汎用化し、
よりオープン化された”新しい計装システム※3”を提案することで下記の1.、2.を実現していきたい。
これにより PA分野での”企業全体の生産の最適化、物流/在庫の最適化”が実現できると考えている。

 1. 上位のMESシステム(MES: Manufacturing Execution System)との統合を実現する(図内の①部分)
 2. 並列に位置する電気関連システム(主に電気担当部署の管理/運転システム)との統合を実現する(図内の②の部分)

※3:新計装システムを集中型制御システム: CCS (Concentrated Control System)
  (”CCS構築”の章で後述)で提案できるのではないかと本研究会では考えている。



FA(ファクトリーオートメーション)の分野での 企業全体の生産/物流の最適化について

FA野においては”エッジコンピューティング”化した企業全体の統合管理システムを構築することによって”企業全体の生産/物流の最適化”が
実現できると考えている。この”基本プラットホーム”の概念を図1-2に示す。

上記実現のために下記の様なシステムの構築を提案していきたいと考えている。
   
   1. エッジコンピューティングの概念を導入することによって 各工程ごとの機能を1系列の生産ライン全体で1つにまとめた
     運転制御システム(PA分野の"DCS"的なシステム)を構築する。これにより上位のMES(Manufacturing Execution System)で扱う
     情報量、および直接制御する項目が減らせ、生産ラインの全必要情報を統合した企業全体での統合情報システム(クラウド化した
     BIG-Dataの構築)が実現可能になると考えている。

   2. 1系列の生産ライン全体を運転/操業ができるような完全2重化の運転制御システム(PA分野の"DCS"的なシステム)を導入することで
     上位のシステムやその通信系で何か問題が起きても各生産ラインごとで確実な現場運転/現場操業が可能になり、企業全体での操業の
     安定化が見込める。このようなFA生産システムを導入している大規模生産企業殿向けにエッジコンピューティングの概念を実現し
     膨大な量のデータ統合を可能にし、また1系列の生産ライン全体をバックアップ運転できるシステムを提案できればと思っている。
     私どもはこの生産ラインごとを一括で運転/操業できるエッジコンピューティングシステムとして
     "CCS"※4)を提案していければと考えている。

   ※4:新計装システム⇒集中型制御システム:CCS(Concentrated Control System)”CCS構成”の章で後述